バックグラウンドの異なるエンジニアクロストーク
エンジニア3名に、それぞれのバックグラウンドやNature Architectsに入社を決めた経緯、実際の仕事の進め方や他社とは異なる点、面白さなどについて聞きました。それぞれ入社前にはメタマテリアルの経験や理解度はさまざま。どんなエンジニアがNature Architectsにいるのか、どんなカルチャーの中で仕事をしているのかを掘り下げます。
PROFILE
●山村 悟史
2022年入社
東京工業大学 工学部機械宇宙学科を卒業後、同学大学院理工学研究科 機械物理工学専攻にて修士号を取得。重工メーカー技術開発部門にて樹脂複合材製品を中心とした強度評価に関する設計支援に従事。2022年よりNature Architectsに参画。
●岡 要平
2023年入社
京都工芸線維大学 工芸科学研究科 機械設計学専攻修了(修士)。分析機器メーカーで製品開発に従事した後、2023年Nature Architects入社。趣味はルービックキューブ。
●明戸 大介
2023年入社
自動車関連企業で情報工学と数値解析を両輪にした開発システムの研究から製品適用までを一貫して担当。2023年にNature Architectsに参画。
多様なバックグラウンドを持つエンジニアたち
皆さんのバックグラウンドと入社の経緯から聞かせてください。
山村:大学では複合材料構造物の最適化を実施していました。前職の重工メーカーでは技術開発部門で主に強度評価関連の設計支援に携わっていましたが、大学で学んだ構造最適化を生かせる分野について自分で調べていたときに、Nature Architectsを知りました。そうしてウォッチにするうちに、大嶋代表のnoteで人材募集を見つけて応募しました。
岡:私は機械工学専攻で力学や金属材料などを学んだ後、分析機器メーカーで設計開発に携わっていました。図面を書いて物を作ってお客さんに届けるという一連の経験ができたあたりで、この先どういう専門性を伸ばして行くのが良いか悩んでいました。そんなときにNature Architectsが月に一度、YouTubeで開催する勉強会「OpenNA」を知り、特にコンプライアントメカニズムや形状最適化といった技術に興味を惹かれました。自分でもそれらの技術を学び、扱ってみたいと思い、大嶋代表のTwitter(現X)で募集の投稿を見て応募しました。
明戸:私は大学から数値解析が専門で、前職の自動車部品メーカーでも7年間、その実用、応用をやってきました。より広い領域に対して解析を行いたく、転職を検討していた際にNature Architectsを紹介していただきました。数値解析を用いてメタマテリアルを筆頭とした既存の製品を超える性能コンセプトを考えることに共感し、入社を決めました。
「本当に解くべき課題を明らかにしてから進める」からこそ、有意義な仕事ができる。
実際、Nature Architectsではどのように仕事が進められるのですか。
明戸:事業開発担当がクライアントの課題をキャッチしてきてエンジニアがNature Architectsから技術的に解決可能かどうかを判断してプロジェクトが始まることもありますし、逆に我々の方から「このような技術がありますが御社製品への適用はいかがでしょうか?」と提案することで始まることもあります。自動車業界の展示会に出展したことがきっかけで、今は自動車メーカーの案件が多いですね。
山村:クライアントからの課題でよくあるのは、「求める性能を満たす形状が欲しい」というもの。たとえば、衝撃吸収について、エネルギー量や製造方法などの制約があるなかで、できるだけ良い形状を出して欲しいと頼まれます。その課題を解析し、形状を最適化して提示するというのが基本的な流れです。ただ、依頼をそのまま受け取るのではなく、初期調査として要件自体をいったんNature Architectsで精査します。その結果、真に取り組むべき問題をこちらから提示することもあります。
岡:意味がないと思いながらやる仕事は辛いものですが、そうならないように「本当に解くべき課題を明らかにしてから進める」という感じですね。
明戸:従来のメーカー内部で求められる仕事は既存のコンセプトに基づいてコストなどを念頭に改良をしていくことが主になりがちですが、Nature Architectsに求められるのはもっと真摯な課題。それまで妥協してきた部分を、よりハイスペックに、より実現可能な価格で、といった高いレベルでの要望です。
山村:そうそう。現状を打破したい企業に、頼られている感じがします。一方で,要件が現実的でないもの、手計算の段階でそれは成り立たないと分かるような場合には、それを示しながら、要件を変更できないかすり合わせることもあります。
ワクワクするポイントは、人それぞれで、いい
どんな課題がエンジニアとして最もやりがいを感じ、燃えますか。
山村:私は、やたらと解析を積み重ねて形状を割り出すよりも、まず理論的にある程度、形状を絞って進めるほうが好きです。シミュレーションの前段階として、数式でガリガリやる感じですね。最適化においては設計変数が無数にあるので、そうやって当たりをつけてから進めるほうが、求める解に近づきやすいことも多いです。
岡:取り組むうちに何かうまい工夫みたいなものを発見して、「これを使えばいける!」と突破口を見出すのが楽しいですね。手を動かしていると、「この変形を利用すればこの値がこうなって、この性能に効くはずだ」、みたいなつながりが見つかったりします。「だとすれば、こうやったらもっとうまく行くぞ!」と、どんどん前に進んでいくのがワクワクします。
明戸:ワクワクするポイントはいろいろありますよね。日本の製造業は長らくお家芸としてきたこともあり、もちろん製品としての完成度は現状でもハイレベルですが、一方で設計の現場はかなり煮詰まっている感じがします。新しいアプローチが生まれにくいので、Nature Architectsに、全く別のところから取り組むことが求められている。その期待に応える、驚きを与えられるような解が出せたりすると、クライアントに喜ばれるし、自分でも快感ですね。
ポケットに忍ばせたメタマテリアルで一緒に飲める、いくらでも遊べる、そんな集団
Nature Architects独自の強みは何でしょうか。他の会社とここが違うと感じることはありますか。
山村:普通では思いつかないような形状のメタマテリアルやコンプライアントメカニズムの知見が蓄積されており、データベースとして有用な選択肢を持っているのは大きな強みです。また、形状最適化というのはソフトウェアがあればできるわけではなく、その手法の知識がないとできません。そうした知識も組織が有しているのが強みですね。
明戸:そのとおりで、新しい解決策を導出できる状況と、それを証明できる解析がしっかりできるような社内環境なので、個々人の能力を最大化できるのだと思います。お互いの知見が横方向の広がりだとしたら、組織としての解析を含む柔軟な設計環境の運用が縦にしっかり通っている感じです。
岡:そもそもNature Architectsの出発点が、構造体を見て「うわっ、面白い!」という、その面白がるところにあると思うのです(私がそう感じているだけで間違っているかもしれませんが)。なので、近い領域の他社があったとしても、この面白がるカルチャーを再現することは難しいのではないでしょうか。
山村:本当にそうですよね、(笑)。メタマテリアルをポケットに忍ばせておけば、これでいつでも遊べるし、これをネタにいくらでも楽しく飲める。Nature Architectsはそんな集団だからこそ、独自のアウトプットが出せるのだと思います。
Nature Architectsという会社に少しでも興味がわいたら、ぜひアプローチしてみてほしい
仕事における面白さややりがいをどう感じますか。
明戸:Nature Architectsは製品に要求される性能をどのように達成するべきか、現象レベルでしっかり考えて、解析を用いて示していきます。このような考え方によって現行の製品を更にエンハンスしたり、あるいは今までと全く異なるアプローチが導かれることがあります。ある意味では自分の想像よりも「凄い」モノも生まれ、そこに面白さがあります。また、従来の考え方との化学反応で更に凄いことになりもするので、Nature Architectsの価値をうまく活用していくことは、社会的意義も大きいはずです。
岡:前職で分析機器を設計していても、あくまでも固有の製品の担当なので、仕事を離れればそれまでです。Nature Architectsでは設計技術そのものに軸足があるので、自分の血肉になっている気がします。一生遊べる新しいおもちゃを手に入れた気分ですね。
山村:周りにあるありとあらゆるものを見て、「なぜこの形になっているのだろう」と思ったりしますよね。前職の重工メーカーでは形や仕組みが決まっている物に対して評価をすることが多かったため,工夫の余地があまりありませんでした。今は上流の設計を担っているので、造りから考えられ、自分で手を加えられるのがすごく面白いです。仕組みからごっそり変えてしまうような提案もできますし。
どんなエンジニアがNature Architectsに向いていると思いますか。
明戸:さまざまなことに好奇心を向けられる方が向いているかと。一方で何かしら特定の分野に専門性のある方ももちろんその知見が大いに力になると思いますので、あまりハードルを上げずに、気楽にコンタクトしていただきたいです。
岡:私は、Nature Architectsの技術に興味はありつつも、もともと知識があったわけでもなかったので、応募するのは少しハードルがありましたが、好奇心が勝ったので思い切って応募しました。一緒に働くことになれば、エンジニア同士が助け合う風土なのでその点はありがたいと感じています。
山村:目安として、もし機械科出身であれば4力(材料力学、流体力学、熱力学、機械力学)の基本が分かってCADやCAEが触れたら十分じゃないでしょうか。エンジニア同士でフォローアップしますし、これまでの経験が活かせることも十分あると思うので、機械専門でなくてもメタマテリアルに興味があるなら、ぜひ一緒に働きたいです。