創業メンバー CEO×CTOクロストーク

会社設立前から、同じような興味を持って研究していたことで知り合っていた、Nature Architectsの創業メンバー。何を目指し、どのような組織や環境を目指しているのか。他ではできないどのようなことを、ここでは成し得るのか。だからこそこんなエンジニアと一緒に働きたい、という思いを語ります。

PROFILE

創業メンバー CEO×CTOクロストーク

大嶋 泰介

代表取締役CEO

東京大学総合分化研究科広域科学専攻広域システム科学系博士課程単位取得後退学。独立行政法人日本学術振興会特別研究員(DC1)、筑波大学非常勤研究員などを経て、2017年5月にNature Architectsを創業。メカニカル・メタマテリアル、コンピューテーショナルデザイン、デジタルファブリケーションの研究に従事する。独立行政法人情報処理推進機構より未踏スーパークリエータ、総務省より異能ベーションプログラム認定。文部科学省よりナイスステップな研究者2022に選定。

創業メンバー CEO×CTOクロストーク

谷道 鼓太朗

取締役CTO

2016年東京大学工学部卒業後、同年東京大学大学院学際情報学府に入学し、デザインエンジニアリングの研究に従事し、国内外多くの展示にて自身の研究成果を出展。在学中よりNature Architectsに創業メンバーとして従事。独立行政法人情報処理推進機構より未踏スーパークリエータ認定。2024年度ソフトウェアジャパンアワードをCRO須藤と共に受賞。

Page Index

・「正しい現場」でありたい

・ゼロベースで形と現象に向き合い、原理原則に立ち返ってアウトプットを出せるか

・「形を考えて、実現したい」クリエイティブなエンジニアたちへ

 

「正しい現場」でありたい

Nature Architectsのエンジニアは、クライアントの設計課題をどのように解いているのですか。アプローチを教えてください。

大嶋:課題へのアプローチは、大きく3つあります。1つ目は、数理的にモデル化してざっくり当たりをつける。2つ目が、コンピュータのアルゴリズムを使う。3つ目が、実際に作ったものから得られる物理情報から新しい発想を生み出す。エンジニアの強みによってこの3つの比率が異なるので、解も異なってくることがあります。
数理が強い人だと、まずざっくり面白いことをひねり出し、そこから力技で持っていく。アルゴリズムが得意な人だと、まずアルゴリズムを組んでみて面白い現象が見られると新たに解釈をし、要件を満たすようにブラッシュアップしていくなど、エンジニアによって進め方には結構特徴があります。最終的には社内の他のメンバーやリーダーの見方や意見も加えて設計に反映していきますが、エンジニアにとっては、課題に向き合って解を出していくという手ごたえや個性の発揮できる面白味があるのはこのようなところだと思います。また、Nature Architectsでは、上記のように数理、計算機(アルゴリズム)、物体(実際のモノ)の3つすべてを駆使して困難な設計課題を解決することを大切にしています。

谷道:Nature Architectsで扱う難易度の高い課題の解決は、ソフトウェアに入れて答えが出て終わりというわけにはいきません。ソフトウェアをフルに活用しながら、同時に頭で考えるプロセスが必ず求められます。どういう手法やアプローチを採るべきか、具体的にどういう形を使うべきか、エンジニア各人のクリエイティビティに依るところが大きいといえます。

大嶋:最初に挙げた3つのアプローチは本来、設計に携わるなら全員に必要な考え方のはずです。ですが、世の中にすべてができている人は少ないし、これらすべてを求められる「正しい現場」というのも、実は希少だと感じます。

Nature Architectsは、その希少な「正しい現場」なのですね。

大嶋:この3つを求められない現場に長くいると、「解けないこと、できないことが当たり前」という人になってしまう。そうではなく、数理、アルゴリズム、そして物の特性すべてに挑むことが求められ、かつ社会にインパクトを出せるような、本当のものづくりの世界を実現したい。そういう「正しい現場」で働くエンジニアを増やしたいと考えています。

谷道:「新しい形を考える」ということこそが、設計の楽しさであり設計においてエンジニアが発揮できる大きなクリエイティビティだと思うのです。それに向けて正しく力を発揮できる場であり、解くべき骨太な課題が得られる環境がNature Architectsなのです。ですから、組織としてもまだまだ力を強化していきたい。そのためにも、いろいろな強みを持つエンジニアにジョインしてもらいたいです。

 

ゼロベースで形と現象に向き合い、原理原則に立ち返ってアウトプットを出せるか

どういうエンジニアが、Nature Architectsにはマッチしますか。

大嶋:メタマテリアルというとハードルが高そうに思えるかもしれませんが、直接の経験がなくても、強い興味があって、入社後に目覚ましい活躍をしているメンバーはたくさんいます。
実際の課題や現場は、「物理現象をコンピューテーショナルに解いて、具体的な形によって制御する」ということですので、決して簡単ではありません。闇雲にできるものではないのです。しかし、原理原則に立ち返り、そこから自分の考えを積み上げ、試行錯誤して具体的なアウトプットを生み出すことを続けることで必ず成長できます。例えば、鳥人間コンテストでも、ロボコンでも構いません。課題に粘り強く取り組み、原理原則を考え尽くし、何かを達成したことがあるような人は、Nature Architectsに向いているのではないかと思います。
 

原理原則に立ち返るとは、具体的にはどういうことでしょうか。

谷道:根本的にその形と現象に向き合う姿勢や考え方を大事にすることだと思います。そもそも設計というのは、材料をはじめとした制約条件が多くあります。しかしながら、思考までもがそこに縛られると新しいものが生み出せなくなってしまう。だからこそ、原理原則に立ち返ることができるか、というのがエンジニアに問われることなのです。今いるNature Architectsのエンジニアは、ベースとしてそれができています。その上で各々のバックグラウンドにより、知見の活かし方が違っているわけです。言い換えれば、「ゼロベースで形と現象に真摯に向き合って考える」ということを、自分の専門性も活かして行える人が大いに活躍できる現場といえるのではないでしょうか。

大嶋:新しい現象に出会ったときに、自分の力で真正面から向き合い、物理や数理のシンプルな原理原則を積み上げて、それを説明や再構築できることが大切なのではないでしょうか。ネットで調べた解説を組み合わせて論を展開するのではなく。そういうスタンスが、原理原則に立ち返るということなのだと思います。

谷道:メタマテリアルというと専門性が高そうですが、まさに原理原則の積み重ねです。機械工学の学部1年目で学ぶような基本的考え方の組み合わせで成り立つものすらあるので、あまり専門知識や経験という面でのハードルを感じないでほしいですね。

 

「形を考えて、実現したい」クリエイティブなエンジニアたちへ

Nature Architectsがこれから製造業における世界のトップランナーを目指すにあたり、会社として必要なのは何でしょうか。

大嶋:大事なのは具体的な設計案を生み出せることなので、ゼロイチで新規の設計を生み出すためのアルゴリズムや理論、ナレッジ、組織、環境・・・これらに関して、世界一の技術とアセットを有していることが重要です。そこで生み出された設計が試作・量産されていくなかで、再び製造や設計にフィードバックされ、蓄積されたデータによって唯一無二の強さを持てる。このサイクルを生むためにも、まず新規設計における技術や環境で世界最先端のものを作り上げることが、Nature Architectsにとって最重要だと思います。

谷道:日本を代表する製造業大手でも解決できていない課題に対して、「Nature Architectsだからこそできている」ということに価値があるわけです。新しい課題というのは産業界で常に生まれてきます。今やっていることを深めていくだけでなく、常に刷新し続けられるような能力や環境を持ち続けられる場でありたいです。

最後に、エンジニアが働く場としてのNature Architectsの魅力を教えてください。

大嶋:新しいものを生み出すときには、設計の新規性や、高度さが伴うことが多くあります。テスラやスペースX、BYDといった世界のトップレベルの企業では、設計技術に加え、ソフトウェアも重要視することでプロダクトが普及・浸透していきます。Nature Architectsは設計自体に加え、こうした設計のためのソフトウェアも内製します。カッティングエッジな設計技術で製造業の根幹の課題を解決できる環境だと思います。また、設計対象の幅の広さと、課題の質の高さ、社会へのインパクトや貢献度の大きさを兼ね備えた、独立系の設計開発企業だというのが魅力です。

谷道:そもそも設計を志す人が本当にやりたいのは、「形を考えて実現させる」というクリエイティブな設計ではないでしょうか。これを真摯に実践しようとしている会社です。経営として、そのための環境づくりや課題集めを本当に大事にしています。実際、Nature Architectsにジョインしてくれたエンジニアたちの活躍ぶりを見ると、前職では抑えられていた、その人が本来持つ能力やクリエイティビティを存分に発揮していることを強く感じます。これからも、そういう人たちの力を開放し、発揮し、成長してもらえる場になっていきたいです。そのために、フラットな組織というのを強く意識しています。人数が増えてもそこは死守したいのです。
あと、ソフトウェアに関していえば、こういうものがあればいいのにと思えば、社内ですぐ作ってしまいます。設計もプログラミングも、ソフトウェアや道具によってできることが制限されることはエンジニアにとってストレスです。そういうことが少ないのも、エンジニアにとって魅力なのではないでしょうか。

大嶋:この良さは、本当に現場感のあるエンジニアには伝わると思います。そうやって内製したソフトウェアが、業界の設計のスタンダードになる可能性も十分にあります。ソフトウェアとそのユーザー(設計者)が同じ組織内にいるので、短サイクルで更新し続け、最先端であり続けられる。その意味でも貴重な組織だと思います。実際、谷道さんと須藤さんが作ったCraneや、夏目さんが作ったGrasshopperのプラグインやライブラリは、今も世界中でダウンロードされ続けています。そういうエンジニアリングにおけるコンピューテーショナルデザインの先駆者がたくさんいる会社だというのも面白さです。
とにかく、Nature Architectsのオフィスにはメタマテリアルで設計したサンプルがゴロゴロありますから、興味を持ってくださった方とは一度これらを見ながら、設計の未来について話してみたいです。